CASE STUDY





近年目覚しい成長を遂げているのが、プライベートブランドです。ここでは、従来の商品作りとは異なる方法で商品を開発・販売するプライベートブランドの概要や特徴などを解説します。
~PB(プライベートブランド)の概要~
プライベートブランドとは、小売業者や流通業者などが主体となって企画と販売を行う製品ブランドです。通常プライベートブランドのことはPBと略され、小売業者の店名が名前に入る場合はストアブランドと呼ばれSBと略されます。流通業者のPBもあるものの、全て外部メーカーに発注を行うために、一度に大量の商品を製造する必要があるので、小売業者のPBほど数が多くないのが現状です。
日本では1990年代からPBの著しい成長が始まり、近年は大手メーカーのナショナルブランドを凌駕する勢いです。PBを導入することにより価格を下げて販売することが可能となるので、消費者の共感を得て売上げを増大させることができます。しかし、低価格路線のみを追求したのでは、すぐに消費者に飽きられてしまうので、製造方法や素材などにこだわりを持った品質本位のPB商品を販売することもあります。長引く不況の影響などで消費者の商品を見る目も変わって来た為に、低価格だけではなく品質も重視した商品展開が必要です。
Wikipediaでは以下のように解説されています。
[プライベートブランドの概要と特徴]
商品の種類は、食品・日用品・衣類・家電製品などさまざまであるが、日常的に消費される食品や日用品が多い。
日本の最古のプライベートブランドは、大丸百貨店が1959年に発売した紳士服ブランド「TROJAN」で、食品についてはダイエーが翌1960年に発売した缶詰「ダイエーみかん」である。
1960年ごろから大手百貨店やスーパーマーケット、日本生活協同組合連合会がプライベートブランド商品作りに乗り出しているが、当時はナショナルブランド商品に比べて安いものの品質が劣り、経済情勢が悪いときにブームにはなったものの、一般的ではなかった。本格的な立ち上がりは1980年代半ばからで、もともと西友のプライベート商品として始まった「無印良品」の独立、価格破壊の象徴として、ダイエーによる「セービング」商品などが取り上げられるようになり、プライベート商品が一定の地位を得ることになった。
2006年ごろからの石油や原材料の高騰、サブプライムローンを発端とする経済危機によるナショナルブランド商品の価格上昇と、消費者の節約志向の高まりから人気を呼び、「日経トレンディ」の『2008年ヒット商品ベスト30』の1位に「PB(プライベートブランド)」が、日経MJの『2008年日経ヒット商品番付』の西の横綱にプライベートブランドの「セブンプレミアム」・「トップバリュ」が選出された。2009年以降、大手流通グループでは売り上げに占めるPB商品の比率をより高める方針と報道されている。市場規模は約3兆円(2012年現在)と推定されている。
~PB(プライベートブランド)のメリット・デメリット~
このように売り上げを伸ばし続けるPBも、メリットとデメリットが存在することに注意するべきです。
メリットとしては、PB販売者が商品の仕様や販売価格を自由に決定することで、商品に付加価値を与えて売りやすくなりますし、粗利益率も向上させることが可能です。消費者も品質が良く低価格の商品を購入できる機会を得られます。PBはメーカーにとってもメリットはあります。商品を製造させるだけで済むので売れ残りのリスクがなく、計画的な工場運営が可能となります。
デメリットとしては、PB販売者は売れ残りが発生してもメーカーに返品することができないことがあります。返品できないだけではなく、販売者専用の製品として製造したために、転売をして処理することもできませんし、品質に問題があった場合は全面的に責任を負わなくてはなりません。メーカーのような商品のアフターサービスを行う必要が出てくるのです。PB商品に製造者が明記されていないことも多いですし、商品のバリエーションが少ないことで消費者は不満を感じます。メーカーのデメリットとしては、製造した商品の売り上げが減少するという問題があります。メーカーとしては製造工場が稼働して利益をあげても、メーカーの商品の売上げが拡大できないと、長期的な企業の運営に問題が生じて来るでしょう。
~PB(プライベートブランド)の種類(バリエーション)~
PBの種類には、小売業者や流通業者が商品の企画・開発を行うPB以外に、プレミアムPBやダブルチョップなどがあります。
プレミアムPBはPB商品に素材・製造方法・エコ志向などの付加価値を付けたもので、ダブルチョップはメーカーと共同で製品の企画・開発を行い製品にもメーカー名が記載されたものです。さらに、メーカーの製品を、特定の小売業者にだけ販売をする専用商品もPBの一つと考えることもできるでしょう。
商品の企画・開発・製造方法によってPBを分類すると、企画と開発をメーカー以外の小売業者などが行う方法、小売業者などとメーカーと共同で企画・開発を手掛けるダブルチョップ、メーカーの既存製品をPBブランドとして販売するOEMがあります。
一口にPBといっても、これだけの種類がありますので、PB商品を全て同じようにして扱うことはできません。PBの販売や評価をする時は、PBがどのようにして企画・開発・製造されたのかを調査しないと、新市場を創り出すプライベートブランドの真の実力を知ることはできないでしょう。